上顎正中部CR充填時の注意点

11,21の審美的な主訴に対してCRにて即日対応した1症例です。

正中部の空隙と不良CR充填が認められます。11,21ともにほぼ全周にわたるCR充填が施されており、補綴的対応を検討しましたが、患者さんの希望とMIの観点より即日充填にて対応しました。

CR除去および軟化象牙質除去後の写真になります。う蝕検知液とラウンドエキスカベータにて軟化象牙質を除去し、着色象牙質を可及的に保存しております。


審美的観点からタービンにて着色象牙質をすべて除去する考え方もありますが、

着色象牙質の色を遮蔽できるCRを選択する余地があるため、私は積極的に保存しております。
また、着色象牙質は石灰化度が高い傾向があります。肉眼的には着色象牙質ですが、

偏光顕微鏡で観察できる透明層(一部混濁層)という象牙質う蝕層が存在し、この層は生活反応的に石灰化が進行しております。

象牙細管の結晶化も進んでいるため、術後の知覚過敏に配慮できると考えられます。
もちろん肉眼で透明層を観察することはできないのですが、エキスカベーションで感覚的に硬いのがわかります。


正常象牙質を露出させると疼痛の原因になるだけでなく、象牙細管への細菌感染を引き起す原因になりえます。正常象牙質と比較して、石灰化の進行した透明層は接着力が高いという研究データも存在します。
さらに知覚の鋭い正常象牙質を切削しないため、無麻酔で対応可能です。
やはり正常象牙質を積極的に切削する意味合いは低いのではないでしょうか。

充填中の写真です。このように完全に唇側―口蓋側に抜けているケースでは最初に口蓋側にバックウォールを盛り上げます。

窩洞の単純化によって充填操作が格段に楽になります。

今回はストリップスを用いましたが、シリコンコアを製作してバックウォールを盛り上げる方がより確実です。充填後の咬合調整も少なく、時間短縮になります。

窩洞の単純化に伴い、Cファクターが増加するため、重合収縮に注意が必要です。

本来なら正中切縁を伸ばして、より審美的に仕上げたかったのですが、咬合(ガイド)の都合上写真のような形態にて仕上げました。

ブラックトライアングルの部分は術後に歯肉が上昇してくれると期待しているのですが、ストリップスの選択を熟考すべきであったと反省しております。
シンメトリーを確立できているため、患者さんの満足度は非常に高く、喜んでいただけました。