多数歯にわたる即日の審美充填

遠方からお越しになった方で、短期間での処置を希望された患者さんのケースです。
充填処置は術前の診査・診断および患者さんとの入念な相談で最短期間での処置が可能です。
直接修復の利点と言えるでしょう。
 


CRの辺縁不適および2次カリエスを認め、
さらに12唇側面に広範囲にわたってバーによると思われる削除痕が観察されました。

 


CR充填における肝は歯面処理にあります。
特に切削した象牙質に対する歯面処理が、その後の予後を左右すると言っても過言ではないでしょう。
象牙質に対する歯面処理方法はいくつかありますが、私はすべての症例でワンステップ・ボンディングを採用しております。

ワンステップ・ボンディングは1液でエッチング~ボンディングまでを完結できる歯面処理剤です。
臨床操作が少ないため、ステップ間のミスが発生しにくく、適切に使用すればだれでも所定の接着力を得ることができます。
また、被膜厚さはほとんどの製品で10μm以下を達成しており、ボンディング被膜層が厚いために発生するマージン着色を回避しやすいと考えられます。
さらに主成分であるリン酸エステルモノマーは硬化前に酸性を示すため、脱灰能があります。
ここがワンステップ・ボンディングの最たる特徴で、脱灰したところだけボンディング剤を浸透させることができます。

3ステップやウェットボンディングで完全に行うことはほぼ不可能ではないでしょうか。
これにより過剰な脱灰が発生せず、術後の不快症状を激減させることができます。

術後疼痛や術後知覚過敏の原因の1つとして象牙質の過剰脱灰が考えられます。
切削後の象牙質をリン酸処理すると脱灰をコントロールすることがとても難しく、大抵は過剰脱灰を招きます。
接着させるためには無機質が必要不可欠であり、もともと70%弱しかない象牙質の無機質を過剰に脱灰することは、

それだけ接着力を奪うことにつながります。
ウェットボンディングの考え方から生まれた、象牙質コラーゲン繊維を活かす接着手法があるのですが、
くっつかないものを活かそうとするのは難しく、テクニカル・センシティブです。
それによって得られる接着力に有意差がないため、私はワンステップを採用しております。

ちなみに、エナメル質への接着操作は後日アップする予定です。

私が使用しているボンディング剤はジーシープレミオボンドです。
処理時間が少なく、被膜厚さが薄く、加えてセラミックプライマーも含有しており、
多用途で確実な処理が可能です。
接着に関しては日進月歩のごとく技術的改善があります。日々の情報収集が必須である領域のひとつと言えます。

尚、本症例では無麻酔で対応しました。
健全象牙質の過剰削除を避けることができれば麻酔は不要です。
(軟化・健全)象牙質の扱いを制する者がCR充填を制す・・・言いすぎでしょうか?

 


1回の治療時間が必要ですが、その日のうちにきれいになることは患者さんにとって大きな利点です。
特に通院時間がかかる人にとって、短時間・複数回数の通院は非常に大変です。
患者さんそれぞれのニーズに柔軟に対応することも私は大切だと考えています。
来院回数を減らすことで治療ステップのオーバーラップする時間だけでなく、事務処理の時間も短縮できます。
結果的に総治療時間を減少させることができます。
今回は2時間ほどお時間を頂き施術させていただきました。
ずっと口を開けていてくれた患者さんに感謝です。

 


3カ月経過後の写真です。順調な経過です。
治療後に喜んでいただけると嬉しいですね。笑顔のある歯医者ってすごくステキだと思います。