2級窩洞つまり隣接面を含むう蝕処置の場合、一般的にはインレーなどの間接修復が適応症でした。最近ではCR自体の強度および接着力の向上によってインレーが必ずしも第一選択とはならなくなりました。
これは患者さんにとってメリットが大きいです。
来院回数の減少
間接修復に伴う治療費の節約
そして、窩洞形成による健全歯質の切削を防ぐことが可能です。

下顎小臼歯は口を開けた時に見える上に、患者さん自身が目視しやすいため気になりやすい部位です。
45のインレーの不適を認めたため、介入に移りました。


In除去、軟化象牙質の除去が終わった時点での写真です。
46の近心部はバー類による切削根が認められ、さらに原発性のう蝕を認めたため同時に処置を行いました。
必要ではない部分の過剰削除は百害あって一利なしです。

2級の齲窩をCR充塡にて修復する場合のポイントがレジンの重合収縮です。
近年のCRはフィラーの含有率が劇的に上昇しているため、過去のMMA系と比較すると1/4以下にまで減少しています。それでも重合収縮量は無視できるほど小さくありません。
そのまま充填すると、重合収縮によって適切なコンタクト圧を得ることができません。
さらに充填時に使用するマトリックス分の厚みも間隙となってしまいます。
つまりスカスカになってしまい、食片圧入を惹起する原因となります。
そこで使用するのが歯間離開です。
いくつか方法があるのですが、私は臼歯部ではエリオットセパレーター、前歯部ではアイボリーセパレーターを使用しております。確実に歯間離開できます。
症例によってプレウェッジ法やウッドウェッジ・プラスチックウェッジなどを使い分けています。
今回はアイボリーセパレーターを使用しました。
まずマトリックスを挿入し、続いてセパレーターを装着します。
セパレーターが歯間離開をするとともに、マトリックスを固定してくれます。
セパレーターとマトリックスの相性が歯種・窩洞形態・歯列・隣在歯によって異なるので、
ウェッジに変更したり、マトリックスの種類を変更したりします。
場合によってはその場でマトリックスを作成します。ここが肝でありエスプリをきかせるところです。
充填のポイントはコンタクト部から成形することです。
これによって重合収縮の影響が隣接面方向に進みにくくなります。
さらに窩洞を単純化することができるため、充填操作が容易になります。

2級窩洞のCR充填における注意点としては、適応症が曖昧であることです。
それはCRの性能に大きく依存するためです。良い製品が出るたびに適応症が変わるため、情報収集が非常に大切です。
また技術的に難しい局面があるため、しかるべきトレーニングが必須です。
特に隣接面の歯肉側にステップを作ってしまうと、修正が極めて難しいです。


術後3カ月の経過写真です。審美面および機能面についても諸問題は出ておりません。
1回で終わり、白くなり、型どり不要、さらに費用面も抑えることが可能です。
そしてなにより「劇的ビフォー・アフター」のごとく、皆様に喜んでいただけます。
ちなみに46のInについてもバイトの問題がなかったため、CR充填による即日処置で施術しました。