過去のブログを確認していて、セラミックインレーのケースを1つも掲載していなかったことに気づきました。
症例数は十分あるのに、その時の気分で書いていると偏ってしまうものです。
今回のケースは右上奥歯が欠けたことを主訴に、審美的な修復を希望された患者さんです。

レジンインレーと思われる修復物の破損および、裏装されたCR下部に軟化象牙質が認められました。

通法に従い、軟化象牙質の除去後、CRにて裏層を行い、インレー窩洞形成を行いました。
ピントが微妙ですみません。

セラミックインレー修復における形成のポイントとしては
① 十分なクリアランス
② 丸みをもった線角
③ 窩洞形態の単純化
④ 大きめの外開き形態
⑤ 窩縁形態をバットジョイントにする
などが主たる具備すべき条件だと考えております。
隣接面の窩洞形態はディープシャンファーで形成しました。
近年ではキャスタブルセラミックである二ケイ酸リチウムの登場によって、窩洞形成の概念が曖昧になっている感があるのですが、
基本にはできる限り忠実であるほうがいいと思います。

セット後の写真です。
セラミックインレーは基本的にバットジョイントであるためセメントラインが露出します。
つまりセメント自体に強度が必要です。
十分な強度を有さないセメントを使用すると、数年でマージンラインに着色が発生します。
また、適合が甘くなりやすい点からも十分な強度を有するセメントの使用をお勧めします。
私はジーシーのジーセム リンクエースを使用しております。
強度と操作性のバランスが良く、術後の不快症状も当医院では皆無です。

約6か月後の写真です。問題なく機能しております。
このように大臼歯において隣接面の広範囲にわたる欠損には間接修復を適応しております。
診療回数が2回必要である点と、印象などの付随処置を伴うため患者さんの負担が必要ですが
間接修復ならではの完成度の高い修復処置を提供できる大きなメリットがあります。