大臼歯における複雑窩洞のCR充填について

先日開催された国際歯科シンポジウムに参加してきました。
最新の接着技術についてのアップデートが目的だったのですが、世界中で「接着」について混乱している現状があるようです。
CAD/CAM冠の脱離は「国際課題」だったというわけです。
多様な方法、接着システム、多種多様な製品…そこに適応症の曖昧さが伴い、結果として各国や歯科医師間で処置方法がバラバラになってしまっているようです。
誰かがイニシアチブをとるべきなのでしょうが、技術革新が速く当分は混沌としている状況が続くと思われます。

今回の症例は適応症が曖昧な大臼歯2級窩洞のCR充填です。
大臼歯2級窩洞の治療は10人の先生に聞くと10通りの意見が返ってくるほど意見が分かれる症例ではないでしょうか。

 


歯と歯の間が黒いことを主訴に来院されました。

なるべく歯を残す治療を強く希望されていたため、充填で処置を進めることとしました。

 


軟化象牙質除去後の写真です。
口蓋側と頰側の両方向から遊離エナメルを除去し、軟化象牙質を穿り出すトンネリング窩洞で対応しました。
トンネリング窩洞によって近心辺縁隆線を保存することができました。
辺縁隆線は大臼歯にとって力学的負担が大きい部位の一つです。
咬合接触がある場合が多く、頬舌的なたわみに抵抗する役割も担っています。

大臼歯のCR充填で最も考慮しなくてはならない事項に「ちから」があります。
要は力学的負担が過大な部位とCR充填は相性が悪いのですが、適応が非常にあいまいです。


・フルカバレッジ
・咬頭を含むアンレー窩洞
・隣接面の広範囲の欠損
これらには適応しないほうが無難です。
しかし、これもコンポジットレジンの性能向上によって可能となる日が来るかもしれません。

 

CR充填や接着の分野では自己流や過去のデータに固執せず、広い視野で情報収集する必要性があります。
実際に臨床家・メーカー研究員・大学の先生の間で考え方のズレがありますし、欧米・アジア・中東など地域性もあります

 


充填直後の写真です。
ポリデンティア社のマトリックスを用いて充填しました。
ポリデンティアのマトリックスは賦形性にやや難がありますが、隣接面の歯肉からの立ち上がりの弯曲形態が大臼歯とマッチするので重宝しております。

トンネリング窩洞の充填において注意すべきこととして光照射が不足する場合があります。
高出力タイプの光照射器で十分に照射してください。
比較的安価な製品が出回っていますが、照射強度が十分ではない製品もあり注意が必要です。
良い製品でもバッテリーの劣化で出力が落ちている場合もあるため、光量の定期的な確認も行いましょう。
照射筒の汚れや断線も光量不足の原因となるため、清掃・確認も大切です。
私はジーライトプリマをお勧めします。
十分な出力と光量調整が容易なだけでなく、充填器で光量を簡単に測定できるため、未然にトラブルを防ぐことができます。

 


4カ月経過の写真です。経過良好です。
口腔清掃状態は優良で、私も見習わなければなりません。

CR充塡処置は術者の技量に大きく依存する側面があります。
逆に言うと努力しただけ結果が伴います。
その努力が患者さんの利益という目に見える結果で還元されるわけですから、こんなに素晴らしいことはありません。
そんな私のデスクには5冊の専門書に8冊の一般書に論文が山積みに…
今月中には読破したいです!