Gフィックスによる動揺歯の固定

動揺歯による固定方法にはさまざまな方法があります。
昔からあるスーパーボンドによる固定が一般的ですが
・硬化時間が長い
・滑沢性が低く、プラークが停滞しやすい
・着色しやすく、審美的に仕上がりにくい
などの欠点があります。

今回は数ある歯科材料の中でも特に思い入れが強い「Gフィックス」を用いた症例を紹介します。
Gフィックスの利点は
・光硬化性なので硬化時間を待たなくていい
・表面滑沢でプラークが停滞しにくい
・清掃性に優れるため着色しにくい
・2色展開で審美的に優れる
まさに良いとこ取りの材料です。

 


「歯が揺れて噛めない。噛むと痛くて困っている」ことを主訴に来院されました。
ポケットを覆う多量の歯石を認め、動揺度は2~3度を呈する状態でした。

 


可能な限り除石と着色除去を行った後、Gフィックスによる動揺固定に移りました。
Gフィックスの操作手順は少しクセがあります。

①    患歯の清掃

②    エッチング30秒
エッチングはエナメル質全周にまんべんなく塗布してください。
そして30秒くらいを目安にハードエッチングします。
まったく切削していないエナメル質は耐酸性が強いためです。
私は付属のエッチャントより、クラレのエッチャントのほうが使いやすいです。

③    Gフィックスを全周に塗布
歯間部にちょっとだけ塗布するだけはすぐ脱離します。
ケチらず、まんべんなく、広範囲に塗布してください。
そして全周を囲むように塗布することがコツです。
脱離が激減するだけでなく、接着剝離してもクラスプのように動揺歯を固定できます。

④    光照射
いろんな方向からしっかり照射してください。

 


6か月後の経過観察です。
せんべいを噛めているとのことで、QOLの改善に貢献できています。

状態の悪い予後不良の歯だったとしても、患者さんにとっては大切な1本です。
「揺れているので抜きましょう。インプラントは揺れないのでしっかり噛めます。インプラントにしましょう」
歯牙保存を放棄して安易な欠損補綴に移行することは簡単です。
今回のケースのように最小限の方法で主訴を改善できる場合もあります。
「優秀な衛生指導者は自然脱落するまでコントロールする」
賛否両論ありますが、私は天然歯に勝る補綴はないと確信しています。