隣接面を含む審美充填

先日、審美充填の新機軸ともいえる「Bio-Emulation」のTapia先生のお話を聞いてきました。
Bio-Emulationは簡単に言うと、少ないシェードで解剖学的形態を再現することを基軸にする審美充填のスペシャリスト集団です。
実は話を聞いていて内心憤慨していました。
私の審美充填方法であるカローレは
オペーカー → デンチン → エナメル → トランス の4~5層シェードが基本形です。
しかし数年前から明度を的確にコントロールすれば、カメレオン効果と目の錯覚で2~3層で審美的に再現できることを感覚的に体得していました。Bio-Emulationの考え方もほぼ同じで2~3層で再現し、使用するシェードもたったの7色・・・カローレの30色に比べると非常にシンプルです。

これはCRの色調再現性が非常に良くなったことと、ナノフィラーによる均一な光拡散性と研磨性によってカメレオン効果が発揮されやすくなったからです。だから従来のように「マッチシェード テクニック」で地道に盛り上げる意味合いが薄くなりました。
これに過去において衰退した「アナトミカル シェード テクニック」を持ってくるとは・・・。確かに現在の高性能CRとアナトミカルシェードは相性がいいです。知っていたのに、こんなにも華やかにプレゼンテーションされるとあっぱれです。


45In脱離を主訴に来院された患者さんです。疼痛などの不快症状は認められず、充塡処置にて対応することとしました。

 

 


軟化象牙質は認められなかったため、残留セメントの清掃を行い、無切削で充填に移りました。
間接修復と充填は適応症が違います。ラバーダムもそうですが、感情的に否定するのは簡単ですが稚拙であり、プロフェッショナルとしての資質を疑います。「CRは良い・インレーは悪い」というように短絡的に決めるべきではありません。もちろん経営的に決めることなど言語道断であります。

 


今回のケースは
着色象牙質のオペーク → デンチンシェード → エナメルシェード
の3層で明度をコントロールすることと、解剖学的形態付与によって審美的に仕上げました。
私はデンチンをわざと一段階明るく充填します。これによって周囲環境の明るさに左右されずに、かつ適度に歯質の色調を拾ってくれます。
ここがBio-Emulationと決定的に異なります。
今回のケースのように遠心にメタルインレーがある場合は、遠心側にハイトーンのオペーク(AO1など)を持っていくと暗くなりません。

患者さんが施術部位を見る場合、私たちのように多方向+無影灯ではなく、鏡を使った一方向+洗面台の暖色灯です。

波長の長い光が残りやすく、感覚的に暗く見えてしまいます。
よって「Value=明るめ、chroma=白め」の方向に合わせています。
無影灯下でシェードを整えると痛い目を見るので注意してください。

ステインについてもより黒く・暗く見えてしまうため使用していません。
歯科医師向けのプレゼンにはステインがあったほうがかっこよく映るのですが、患者さんの受けは悪いです。
どちらを優先するかは先生の考え方次第です。

 

  


4か月後の経過観察です。問題なく機能しております。
患者さんにも喜んでいただき大変光栄です。

Bio-Emulation の考え方をもとに開発されたEssentiaを模型上で試用しているのですが、非常に優秀なCRです。
Tapia先生の話を聞いていたときは「日本人のエナメル質は薄いからEssentiaは使えないだろう」と高をくくっていました。

いざ使ってみるとそのポテンシャルの高さに脱帽です。
審美充填が一部のスペシャリストだけでなく、多くの先生に施術できるようになる日は近いのでしょう。

GC Essentia - GC EUROPE