EQUIA Forteの大臼歯への応用

私の知る限り最強の強度と耐久性を誇るグラスアイオノマーセメントがEQUIA Forteです。海外では好評であり、ドイツを中心に欧米各国で使用されているのですが、日本ではグラスアイオノマーセメントの評価が低く、悲しい現実があります。
先日EQUIA Forteを開発された方にクリニックへお越しいただき、日本でのMI修復およびグラスアイオノマーセメントの普及についてお話しさせていただきました。Made in Japanなのに日本以外で大好評・・・MIの概念が浸透していない日本独自の治療文化があるせいなのでしょうか。
MI修復の最前線である「European Board of Minimum Intervention Dentistry」においてもEQUIAで通じるほどメジャーです。東南アジアやオセアニアの島国の先生にもEQUIAで通じます。本当に素晴らしい材料なのに残念です。


「詰め物が取れてしまい、歯もかけた」ことを主訴に来院されました。

歯髄に近接する齲窩を認めましたが、幸いにも歯髄はvitalであり歯髄反応は正常でした。
よって歯髄保存療法(VPT)を適応することとしました。

 


ラバーダム装着後、エキスカベーションにて慎重に軟化象牙質の除去をおこないました。
この場合、着色象牙質をすべて除去すると確実に露髄します。

また、齲蝕検知液を使用すると正常な象牙質まで染色してしまいます。

歯髄に近接している象牙質は象牙細管が大きく開口していることが多いからです。
エキスカベータによる手指の感覚で軟化象牙質を慎重に除去することが望ましいと判断しました。
う蝕処置に関してはう蝕処置ガイドライン第2版が公開されていますので、ぜひこちらもチェックしてください。

う蝕治療ガイドライン 第2版

 


MTAセメントによる間接覆髄を行いました。
グラスアイオノマーセメントでの修復の際に、たとえ歯髄から距離がある場合でも間接覆髄しておいたほうが無難です。

グラスアイオノマーはポリアクリル酸を含有するため、硬化前は酸性のセメントです。

完全硬化後は酸塩基反応で中性付近に落ち着きますが、完全硬化までに24~48時間のタイムラグがあります。

ということは、完全硬化まで酸による歯髄刺激が生じる恐れがあります。

よって、歯髄に近い部分にはMTAセメントや水酸化カルシウムなどのアルカリ性の覆髄剤を使用することをお勧めします。

間接覆髄することによるデメリットはほとんどないので、積極的に適応しています。

 


EQUIA Forteを充填しました。充塡後ただちにEQUIA Coatの塗布をお勧めします。

グラスアイオノマーは硬化時の冠水が致命的です。酸塩基反応で硬化するからです。

あくまで推測ですが、日本でのグラスアイオノマーの評価が低い原因は「硬化時」にあるのではないでしょうか。
多くの先生は保険診療で1分でも無駄にしない「回す」診療をされています。

そしてラバーダムを使いません。
硬化時に唾液に冠水するうえに、硬化時間を待たずに形態修正で注水してしまいます。
硬化時に冠水したグラスアイオノマーは強度が激減するため「しみる・痛い」などの歯髄症状が生じるだけでなく、

クラックや治療直後のダツリの原因になりえます。

 


初期硬化後、なるべく早めに形態修正を行ってください。

以前にEQUIAを形態修正前にサーマルサイクルに2時間以上放置したことがあるのですが、まるで岩石のようになっていました。
それもそのはず、完全硬化したEQUIA Forteの表面硬度はビッカース硬度で120HV!!
CRより上です!セメントなのに120HVですよ!
だからEQUIA Forteは臼歯部のclassⅡに余裕で使えます。
ベースセメントと同じだと考えないでください。全く別物の材料です。
世界最硬のスーパーグラスアイオノマーセメントです!

 


16に関してもInフテキのため再修復となりました。
軟化象牙質除去後の写真です。

 


充填・形態修正後の写真です。
EQUIA Forteの特徴として「代謝する材料」であることです。
口腔内とイオン交換することで結晶成長し、持続的に硬度が増していきます。
フッ素イオンを多く含有するため、口腔内にフッ素イオンを除放するだけでなく
切削した脆弱歯質をフッ素イオンによって強化してくれます。
また、表面電位的に細菌を付着させにくいため抗プラーク作用があります。
充填したその日に予防が始まっていると言えるでしょう。
さらに0.3%ほど膨張する材料なので、コンタクト圧が抜けることがなく、収縮しないので適合性も良いまま。
材料そのものが歯質接着性を持つため複雑難儀な接着操作が不要。
自己接着型材料なのでマージンにステップができません。
抗プラーク作用と相まって二次カリエスが極めて発生しにくい!
まさに口腔内にベストマッチな材料なのではないでしょうか。

 


4か月後の写真です。念のためにリコートをかけています。
ちなみにEQUIAは口腔内イオンと持続的に交換するため、高濃度フッ化物を塗布するとフッ素徐放性が復活します。

海外ではMIバーニッシュをメインテナンス毎に使用している症例が多いです。
患者さんの意識が非常に高く、念入りに清掃してくれているため、まったく問題は生じていません。

グラスアイオノマーは使い方次第では口腔内において最高の材料の一つです。
多くの先生にグラスアイオノマーセメントの良さを分かってほしいです。

* 注意事項 *

こちらのページは東松山グリーン歯科の渡部誠弘が個人運営する勉強会での向上と研鑽を目的とした歯科医師向けコンテンツです。
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
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