ゴールドインレーとマジックマージンテクニック

歯科医療は日進月歩のごとく進歩しております。しかし、常に新しい治療が絶対的に良いというわけではありません。どんな治療も、インプラントもそうですが、基本術式をいかに厳守するかが大きな成功要因だと確信しています。今回の症例であるゴールドインレーは率直に言って「オールドスタンダード」です。今後、治療術式が大きく変わることは無いでしょう。だからこそ基本的な操作を精確に実行することが求められるのではないでしょうか。


長野県より来院された患者さんです。上信越道~関越道で2時間以上かかったとのこと・・・大変申し訳ないと同時に身の引き締まる思いです。歯が黒くて、かけてしまったことを主訴に来院されました。

 


幸いにも自覚症状がなく、歯髄診断にも正常に反応したため、フジⅨGPエクストラにて裏層を行いました。患者さんとの相談によりゴールドインレーにて最終修復することとなりました。


形成ではセラミックと違い点角・線角を明瞭にすることと、ベベルを付与することが大切だと思います。
45の形成に関しては極力歯質を保存するために、鳩尾形態を工夫して維持・把持できるように形成しました。
隣接面形態は広いフレア形成で仕上げています。

大学ではボックス形態が通常ですが、ボックス形態では隣接面の金属のボリュームが多くなり過ぎ、鋳造収縮によって歯肉側マージンが引き上げられ適合が甘くなりやすいです。

そもそもボックス形態は維持力・把持力の向上が目的であり、リン酸塩セメントなど強度の低いセメント時代の過去の産物だと考えています。

広いフレア形成にすることで、ワックスの厚みが均一かつ移行的になり、鋳造エラーの防止に貢献します。

形成も単純になるので、印象採得含めてストレスが減ります。

 


セット直後の写真です。この段階でも適合性が非常に良いです。

いくらセメントの性状が良くなったと言え、バットジョイントのセラミックインレーと比較すると安心感が違います。グラスアイオノマー系のセメントにて合着しました。

 


マジックマージンテクニックによる辺縁のすり合わせを行いました。時間がかかるのと、力がかかるので顎が疲れます。

患者さんにはご迷惑をおかけすることになりますが、その分適合感が全く違います。
「舌で触っても全く違和感がない。普通は慣れろと言われるのですが、コレすごいですね!」との感想を頂けました。


マジックマージンテクニックの注意点として、インレー体がアンダーだと致命的です。

つまりバットジョイントになっていると修正が非常に難しいです。技工士さんとの緻密な連携が大切だと思います。

鋳造体は製作上必ず収縮します。ベベルは鋳造収縮によるマージンラインの適合補正も兼ねています。

マジックマージンテクニックも大切ですが、その前提条件として、形成時に必ずベベルを付与してください。私はベベル付与にジーシーffシリーズを使用しています。
セメントラインが見えなくなり、探針でまったく引っ掛かりが無いことを確認すると「やっぱり金はいいな」と再認識させられます。先人たちの知恵は偉大です。

* 注意事項 *

こちらのページは東松山グリーン歯科の渡部誠弘が個人運営する勉強会での向上と研鑽を目的とした歯科医師向けコンテンツです。
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