審美充填におけるフィラーの重要性

先生方はフィラーというとどのようなイメージがありますか?

CRの強度を高めるための補強材程度だと思ったら大間違いです。

フィラーはCRそのものの性能を大きく左右する重要な成分です。

含有量ばかりに目が行きがちですが、フィラーの大きさ・形状が実は色調・研磨性にまで影響しています。

 


21,22間のCR充填不良のケースです。歯肉側にステップができており、プラークが堆積しています。フロスが引っかかってしまい上手に清掃できないとのことです。辺縁にそって着色が認められ、二次う蝕も認めたため介入に至りました。
充填されているCRは適切に研磨されているにもかかわらず、表面に凹凸が認められます。
多くの古いCRに認められるこの表面の凹凸ですが、原因は「フィラー」にあることが多いです。

10年以上前のCRには最も原始的な粉砕ガラスがフィラーとして使用されています。
粉砕ガラスフィラーのCRは表面硬さこそ高いものの、粒形が不規則で大きさがそろっていません。
そのためマトリックスレジンとの界面から浸食が発生しやすく、フィラーが容易に脱離してしまいます。
表面の凹凸はフィラーの脱離によって発生しています。フィラーが脱落すると急速に強度が落ちます。
それだけでなく着色物質の堆積、プラークリテンションファクターの増加によってマトリックスレジンの劣化が加速的に進行することでCRの変色につながります。表面も粗造になることで輝きのないマットな汚い充填に見えてしまうのです。

余談ですが、粉砕ガラスフィラーのCRは探針で触った時にカツカツと硬い感触があります。

フロアブルCRとの比較において探針で突っついたときに硬さが違う=フロアブルは軟らかいからダメ、と考えがちです。
これは探針が大きなフィラーにぶつかるためであり、実はCRの強度と関係ありません。
CRの強度はあくまで靭性と耐摩耗性で計測するため、粉砕ガラスフィラーのように粒径の大きなフィラーは靭性が低くフィラーの脱落によって摩耗しやすいため、過去のCRと言えるでしょう。
ちなみに粉砕ガラスフィラーの表面処理にフッ酸を使用すると弱いフッ素徐効果が認められます。歯質強化には全く寄与しませんが、マーケティング的に有効なようです。

 


CR除去および軟化象牙質除去後の写真です。
充填されていたCRが一部歯肉縁下に及んでいたため、修復操作上ラバーダムを装着していません。

 


充填直後の写真です。
ボディにハイブリッドフィラー、エナメルに球状ナノフィラーのCRを使用しています。
粉砕ガラスフィラーは粒形が不均一であるため、CR内部で透過光が散乱します。
散乱した光は肉眼でベタっとした色として見えてしまいます。つまりキレイではありません。
そしていくら研磨しても不均一なフィラーが表面に露出するため、滑沢性を出しにくいデメリットもあります。

一方最新のCRに添加されている球状ナノフィラーはフィラーサイズが極めて小さく200~400nmです。
そして均一な粒形・大きさであるため
・透過光の内部散乱が均一 → 周囲から色を拾うことで馴染んでくれる
・フィラーの脱落による大きな陥没がない → 表面劣化が発生しにくい
・研磨性に優れる
・フィラー含有率が高く、靭性・耐摩耗性に優れる
などの優良な性質があります。
ナノフィラーを採用しているCRはジーシー、トクヤマ、3Mの3社です。

  


約9か月後の経過観察です。問題なく機能しています。
ナノフィラーはいつまでも滑沢性を保つだけでなく、セルフシャイニング効果といって経時的に勝手に滑沢になってくれます。
CRは年を追うごとにどんどん素晴らしくなっています。
先日、私の勉強不足で新しいレジンセメントについてメーカー研究員に丁寧に教えていただき、身の引き締まる思いです。

逆に言うとそれくらい開発スピードが速いということであります(言い訳です)。
メーカー研究員は皆頭脳明晰で優秀です。その優秀な研究者が努力し頑張って開発してくれた製品を100%使いこなせるよう、私もその努力に見合うように切磋琢磨しないといけません。

* 注意事項 *

こちらのページは東松山グリーン歯科の渡部誠弘が個人運営する勉強会での向上と研鑽を目的とした歯科医師向けコンテンツです。
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
無断複写・転載は一切認めておりません。