レジンセメントの接着操作

ここ最近レジンセメントが賑わっているように感じます。CAD/CAM冠の保険採用によるレジンセメントの需要が伸びたためなのでしょうが、毎年のようにアップデートしている様相です。
私が研修医のころはレジンセメントというと臨床ステップが煩雑で、余剰セメントが除去しづらく、操作性も難しいため嫌煙されていましたが、近年のレジンセメントは本当に優秀です。
ここで改めてセラミックレストレーションにおけるレジンセメントの接着操作について解説していきます。

 


被せ物がとれたことを主訴に来院されました。根管治療後にファイバーポストによる支台築造を行いました。一部着色象牙質が残っていますが、審美的に影響がないため保存しています。軟化象牙質はすべて取り除いています。e-maxクラウンによる補綴を計画しました。


使用したセメントはジーシー社のジーセムリンクフォースです。リン酸エステルモノマーが入っていないガチンコなレジンセメントです。セルフアドヒーシブではないため接着操作がやや煩雑ですが、その分セメント強度と接着力がずば抜けて高く、特にマージンラインが露出するセラミックインレーに最適なレジンセメントです。

 


セラミックプライマー塗布後にGプレミオボンドとDCAを1:1で混和し、まんべんなく支台歯に塗布します。

 


エアブロー後に十分に光照射します。DCAと混和することで化学重合性を獲得していますが、カンファーキノンがプレミオボンドに含有されている為、光照射により重合がより進みます。光照射しない方がセメントと一体化するという考え方もあるので、今後の研究次第で操作手順が変わる可能性があります。

 


クラウン内面にもセラミックプライマー処理を行った後にボンディング塗布を行います。こちらは光照射しません。
クラウン内面に十分にリンクフォースを盛り、支台歯に圧接します。
予備重合後にすばやく余剰セメントを除去します。リンクフォースは写真のようにバリッっと一塊で取れてくれるので、バリ除去が非常に楽です。バリなだけに・・・。

 


ある程度余剰セメントを除去したのちに完全硬化させます。いろいろな方向からまんべんなく照射してください。
この時点で余剰セメント除去を念入りに行わないでください

クラウンの位置がずれる可能性があるので、ほどほどにしておいた方が無難です。

 


セット直後の写真です。余剰セメントが除去できない時は探針で力任せに除去するよりもバーの使用をお勧めします。

コメットカーバイトバーOS3は歯肉を傷つけずに歯肉縁下に入り込んでしまったセメントを除去できる優れものです。ただし、タービンで除去しようとすると歯肉を傷つけてしまう恐れがあるため、5倍速コントラで低速で使用してください。

 


1か月後の経過観察です。良好に経過しています。
形成・印象にどれだけ気を付けていても、最後の接着ミスで脱離を招いてしまうと全てが台無しです。
患者さんの信頼関係にも影響が出てしまいかねません。
プライマー処理を省く・・・
硬化時間を守らない・・・
接着ステップを厳守しないと即トラブルにつながります。合着と接着は全く別物です。
接着ステップは煩雑ですが、それに見合う良好な結果に必ずつながります。