トンネリング窩洞による隣接面う蝕へのアプローチ

直接修復において最も大切なことはパッションではないかと思います。う蝕は患者さんごとに違い、それぞれに対するアプローチに工夫が必要です。以前のように「隣接面う蝕=インレー」ではなく、歯科医師の努力次第でよりMIに修復できるようになりました。隣接面のMI修復において代表的なトンネリング窩洞形成による修復について解説していきます。

  


近心隣接面にう蝕を認めますが、咬合面にう窩を認めません。

インレー形成を行った場合、う窩よりも健全歯質を多く切削してしまう危険性があります。

健全歯質の切削は術後の知覚過敏を惹起しやすいだけでなく、長期的に見て不必要な切削は決して良い方向に向きません。
優良なマテリアルがある現在において、盲目的にインレー形成を行うことは、もはや過去形になりつつあります。

 


咬合面よりトンネリング窩洞を形成し、軟化象牙質をほじくるように除去しました。トンネリング窩洞によって辺縁隆線と隣接面の大部分を保存することができます。
ただし軟化象牙質を取り残しやすいため、エキスカベーションだけでなく検知液などで徹底的に確認する必要があります。

軟化象牙質の取り残しが危惧される場合は、躊躇せず辺縁隆線を落としてください。

 


フロアブルCRにて修復しました。充填は単純窩洞なので特別難しい点はありません。

単純窩洞はCファクターが大きく重合収縮の影響が出やすいため積層充填は必須です。

また未重合層が発生しないように多方向から十分に光照射しましょう。

  


9か月後の経過観察です。問題なく経過しております。

遠心隣接面部にはエナメル質に限局したカリエス(ICDASコード3)を認めましたが、清掃指導で経過観察しております。

毎日フロスして頂けているようなので、進行停止し再石灰化が進むと思われます。

 

隣接面う蝕へのアプローチとして「ホリゾンタル・スロット・テクニック」や「インフィルトレーション」などもあります。

複雑窩洞になったとしても力学的に問題なければ直接修復で施術可能です。

もちろんインレーも適応症であり、症例によってはインレーを選択します。

また介入しないことも立派な治療であると考えています。

柔よく剛を制すー
変化の激しいこのご時世において、ひとつの考え方や物の見方に固執せず、「柔」に考えることの意味が増している気がします。

 

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強い信念があればこそ、総体として自分は決まったやり方や表現スタイルを敢えて持たずにおくあり方を思考してみてはどうでしょう。

  「塑する思考」 佐藤卓・著

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