エッセンシアとは世界的に活躍する審美歯科のスペシャリスト集団である「Bio-Emulation」が主体となって開発した次世代型コンポジットレジンです。今までの審美充填は何層もの色調を重ね合わせることで歯の色調を再現する必要がありました。しかしエッセンシアのシステムは基本的に2層で完結できる、つまりデンチンとエナメルで仕上げることができる画期的なシステムとなっております。・・・正直、かなり鍛錬を積んで審美充填を習得した私にとっては複雑な心境です。

単純窩洞インレーの置換処置です。

インレー除去、軟化象牙質除去後の写真です。

MIローフローA3によるライニングを行いました。ペーストCRは賦形性に優れる反面、充填時にデッドスペースを作ってしまう恐れがあります。
そのためフロアブルCRによるライニングで窩洞を単純化した方が、その後の充填操作が楽になります。

エッセンシアMDとLEを使用して充填しました。他のシステムではエナメルシェードを使用し過ぎると、透明感が強くなり過ぎてブラックアウトする危険性があります。
しかしエッセンシアのエナメルシェードは適度な乱反射と発色性を併せ持つため、極めて審美的に色を出してくれます。
フィラーを工夫することで天然歯に近い光の屈折を再現しているとのこと、しかもデンチンとエナメルでCRの特性を変えることで、色調だけではなく熱膨張率までコントロールしているようです。
ここまでこだわっているCRシステムは他にあるのでしょうか。

約1か月後の経過です。問題なく経過しております。
エッセンシアのシステムは決して端折ることを目的としているわけではありません。
トーマス・エジソンの言葉を借りると「物事は可能な限り単純化されるべきであり、ただ単純なだけでは不十分である」のです。
世界トップ集団が考えに考え抜いた結果、無駄がそぎ落とされ本質的な部分(エッセンシャル)がのこることで、結果としてシンプルになったと言えるでしょう。
臨床を複雑に考えてしまいやすい私にとって、根本から考えさせられます。