小窩裂溝のステイニングについて

私の症例発表や雑誌の記事を読んだことがある先生は「言ってることが違う」となってしまいそうですが、実はステイニングする症例があります。それは歯科医療関係者の治療です。

 


「8番のベース周囲が二次カリになっているからお願いできないか」との主訴のもと、処置に移りました。

当医院は医療関係者の来院が多いのですが、特に同じ歯科医師の治療、しかも先輩歯科医師の治療には神経を使います。

しっかり神経を保存しないと・・・。

 

 


遊離エナメル除去後、ラウンドバーやエキスカベータで軟化象牙質を除去しました。

ラウンドバーはコメットのH1SEMを愛用しています。軟化象牙質を効率的に除去できるだけでなく、硬化象牙質を切削しないため、盲目的に操作しても安心して使用できます。

勿論、う蝕検知液やエキスカベータでの確認は絶対に怠りません。

 

写真は軟化象牙質除去後です。「これでカリエス取った後なの?」と疑問を呈する先生は多いと思いますが、着色象牙質は切削の対象ではありません。

むしろ感染性物質への抵抗で、反応的に象牙細管が石灰化しており、石灰化度は健全象牙質に勝ります。写真でも光沢があるのが見て取れます。

以前の処置時にサホライドを塗布しているため、より変色が顕著に見えることも考慮する必要性があります。

 

 


充填後の写真です。

着色象牙質を確実にオペークして、GCエッセンシアのDD、DEにて充填しました。

小窩裂溝の着色はエッセンシアモディファイヤーのRBMとBMを使用しました。

37の小窩裂溝の着色がブラックに近かったのでBMを主に使用しています。

 

ステインは加減が難しく、使用し過ぎると真っ黒になってしまいます。

私は細い探針で慎重に充填し、ペーパーポイントで加減の調整を行います。

細いKファイルも使いやすいです。

 

歯科関係者の皆様は小窩裂溝の着色を希望される方が多いです。

より解剖学的形態に近似させるには、やはりステインは必要です。天然歯感がグッと増します。