湾曲根管へのアプローチ

ニッケルチタンファイルは従来のSSファイルと比較して超弾性を有するため、根管形態に追従するように形成してくれる優れものです。しかしSSファイルと決定的に違う点が、製品ごとに性質が全く異なります。SSファイルはISOで規格化させている為、どのメーカーもほぼ同じです。ニッケルチタンファイルは同じ号数・テーパーでもメーカーや製品ごとに全く違う性質を示します。

つまり使用する製品ごとの性質を熟知する必要があるのです。

 


術前の写真です。右上5において、歯冠の崩壊が進んでおり、歯髄はすでに失活していました。

デンタルにおいて根尖透過像を認め、根尖部にL字状の強い湾曲を認めます。

小臼歯の根管形態はバリエーションに富んでおり、

2根管が細い歯髄腔でつながったイスムスや、根尖付近で分岐していたり、

J状に強く湾曲している場合や、銃剣状に複数個所でベントしていることもあり注意が必要です。

 

  


ニッケルチタンファイルには各製品ごとに得意・不得意があります。1つの製品で全ての症例に対応できるわけではありません。

歯根の湾曲が強い場合に特に難しいのがネゴシエーション~グライドパスです。

本症例ではCプラスファイルの#08にプレカーブを付与してネゴシエーションを行い、#10.02のニッケルチタンファイルでグライドパスさせました。

湾曲が強い場合、SSファイルだけでグライドパスさせようとするとレッジやジップを形成してしまうことが多い上に、とにかく時間がかかります。

 

当院では根管治療においてほぼ100%ラバーダムを使用しています。

各ステップで時間をかけてしまうと、それだけラバーダムで拘束される時間が長くなり、患者さんにとって負担になります。

 

湾曲が強すぎる根管の場合、いくら超弾性を有するニッケルチタンファイルでも直進性が強くなり、レッジやトランスポーテーションを誘発する危険性があります。

そこで本症例にはボルテックスブルーを使用しました。ボルテックスブルーの利点はニッケルチタンファイルなのにプレカーブを付与することができるのです。そして非常にしなやかであり、破折抵抗に優れています。

また、ボルテックスブルーは目視で破折の前兆が確認できるため、偶発症の防止にも役立ちます。

 

  


根管充填後の写真です。根尖1mm手前でアピカルシート形成を行ったので確認しにくいのですが、根管形態を逸脱せずに形成できました。

 

   


ファイバーポストによる歯台築造後、CAD/CAM冠を装着しました。

医療技術の発展で、以前はほんの一握りのプロフェッショナルしか施術できなかった治療がGPでもどんどん可能になりはじめています。

医療分野は細分化とスペシャリスト化がどんどん進んでいますが、技術革新によってゼネラリストが活躍できる範囲が広がるのではないでしょうか。

写真を撮影していないのですが、6カ月時点で問題なく経過しています。