3年放置したダイレクトブリッジ

先日のワールドデンタルショーにおいて、建築家である隈研吾さんの作品に私の臨床写真を使っていただけました。
担当者さんから「先生の写真使ってもいい?」と軽い感じでお願いされたので、「いいですよ」くらいで返事をしたら、まさかこんな光栄な仕事だったとは!
お忙しいところ、中尾社長をはじめ皆様にご挨拶を頂き、心底嬉しい限りです。
前置きが長くなりましたが、今回はダイレクトブリッジ施術後3年が経過した症例です。
 


前歯部に1本義歯が装着されており、私よりダイレクトブリッジを提案させていただいた症例です。
義歯の煩わしさから解放されたいとのことでしたので、即日でダイレクトブリッジを装着しました。

   


通常では模型診査、ダイレクトブリッジ用のシリコンコア製作などの事前準備を行います。
しかし当医院では遠方より来院される方が比較的多く(飛行機で通院される方、海外在住の方など)、即日で進めることが比較的多いです。
本症例では時間的余裕があったのと、咬合に大きな問題がなかったため、即日にて対応しました。

  


その後約3年間通院が途絶えたのですが、先日久しぶりに拝見させていただきました。

歯肉の腫脹・歯石沈着などが認められますが、ダイレクトブリッジ自体には大きな問題が出ておりません。

着色が認められるものの、表面の光沢は維持されており、使用したジーシー社製CRのポテンシャルの高さに感心します。
本音を言うと学術的にキレイではない症例写真を掲載したくないですが、予後の臨場感があると考え踏み切りました。

口腔内の清掃状態は良好とはいえない条件下でも、ダイレクトブリッジは良好に維持できております。
ダイレクトブリッジは従来型補綴やインプラントと比較して、圧倒的に低侵襲であり、適切に処置できれば予後に優れます。

   

インプラントなどの複雑な補綴装置は厳格な自己管理が前提となっております。
しかし、すべての患者さんが完璧なブラッシングをできるとは到底思えません。

ほとんどの人が「それなりに」歯磨きしている現状があると思います。
いっそのこと、「それなり」でも維持できるようにするほうが、理にかなっているのではないでしょうか。

 


私が無意識のうちに目指していたのは、人々が目を瞠り、だれもが話題にせずにはいられない「特別なもの」ではなく、

気張りもしないし、気取りもしない。

背伸びもしないし、萎縮もしない。

無理もしないし、無駄もしない。それでいてまっすぐに背筋の通った「普通のもの」でした。

 

中村好文「普通の住宅、普通の別荘」

 


普通と聞くと、どうも否定的に聞こえます。

インスタやフェイスブックなど、こう自己主張だらけだと、普通が余計に悪く聞こえてしまいます。
ですが理想的で完璧を目指すのではなく、「普通でちょうどいい」くらいで留めておくことが、

人間にとって本当の理想だったりもするかもしれません。



* 注意事項 *

こちらのページは東松山グリーン歯科の渡部誠弘が個人運営する勉強会での向上と研鑽を目的とした歯科医師向けコンテンツです。
症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。
無断複写・転載は一切認めておりません。