ケアダインシールドと縁上スケーリング

以前に衛生士専門学校の生徒さんに指導をしていたことがあるのですが、学生さんは「歯肉縁下」に意識が向きすぎているように感じていました。ルートプレーニングの施術方法からキュレットの種類・シャンク角度、シャープニングなど・・・確かにとても大切です。歯周炎の治療においてSRPは必須項目です。ですが、歯肉縁上を軽視しすぎているように感じていました。縁下をどれだけがんばっても、縁上に歯石を取り残しては本末転倒です。

 


多量の歯石と着色が認められます。喫煙されているため、タバコのヤニも一因だと考えられます。

衛生士さん泣かせの症例ですね。

 


まずは超音波スケーラーで大雑把に歯石除去を行い、ステイン除去バー(ホワイトクリーナー Ciデンタル)でヤニを除去しました。この時点である程度はきれいになっているのですが、歯間部や叢生部分に取り残しが認められます。

 


そこで使用するのがシックルスケーラーです。みなさんシックルを使っていますか?

「歯質を削ってしまう恐れがある」「時間がかかる」などデメリットばかり目立ちます。全顎スケーリングをシックルのみで施術するのは無理があります。また根面へのシックルの適応は、セメント質だけでなく象牙質までダメージを与えかねません。

ですが、エナメル質に限局して適切に使用すれば問題ありません。

私は縁上の歯間部の歯石除去に非常に効果的であると考えています。

むしろ歯間部やコンタクト付近の歯石除去においては、超音波スケーラーのほうが危険です。エナメル質に対してスケーラーチップを直角に当てることになるため、エナメル小柱方向と一致した振動がダイレクトに伝わり、クラックやチッピングの原因となります。

超音波スケーラーはある程度大きな歯石を叩き割るイメージです。短時間で大雑把に除去するのに好都合ですが、細かい歯石がけっこう残っています。超音波スケーリングの後、シックルで軽く擦るように歯面をなぞると、かなり取れてきてぞっとします。

メリットの多いシックルですが、過去に超音波スケーラーを普及させるための敵役になってしまったのでしょう。

道具は使い方次第です。

私が使用しているのは「アメリカンイーグルのブラックジャック」です。適度にしなりがあり、刃部が非常に細いので叢生部分などに重宝しています。

 

ケアダインシールドのカタログより引用
ケアダインシールドのカタログより引用

除石後にグリシンパウダーを用いたパウダークリーニングとPMTCカップで表面研磨を行いました。

除石量が多かったため、一時的な知覚過敏が懸念されました。

そこでケアダインシールドで術後ケアを試みました。

ケアダインシールドの利点はフッ素イオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンの3種類のイオンを効果的に歯質表面に供給できることです。

3種のイオンがクリスタル粒子層を形成し、知覚過敏を抑制してくれます。

さらに亜鉛イオンによってう蝕予防も期待できます。銀イオンと違い歯質を黒変させる心配がないので、見える範囲にも適応可能です。

A液に「BioUnionナノフィラー」という各種イオンが高密度で封入された結晶体が入っており、B液のリン酸がBioUnionナノフィラーをエッチングすることによりイオンが放出されます。

知覚過敏の部位にリン酸を使用してもよいのか?と心配になると思いますが、BioUnionナノフィラーを溶解すると同時にリン酸亜鉛結晶、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムに置換するため全く問題ありません。BioUnionナノフィラーにはケイ素が含まれるため、生成された構造体をクリスタル粒子層と呼ぶのは合点が付きます。

脱線しますが、pH1前後の強酸であるリン酸が再石灰化や歯石形成、HAの形成に深くかかわっています。酸は歯を溶かしてむし歯を作る、とは一概に言えません。

 


塗布後の写真です。うまく塗布すれば1回の混和で3-3まで塗布できます。一度にこれだけの量を塗布することができるので、ケアダインシールドはスケーリングの後に使いやすいのです。コスパも良いと思います。

この状態で放置しすぎると、乾燥して水洗しにくくなるので注意してください。

 


余分な薬剤を洗い流します。

 


術後です。患者さんに喜んでいただけました.。

* 注意事項 *

 

こちらのページは東松山グリーン歯科の渡部誠弘が個人運営する勉強会での向上と研鑽を目的とした歯科医師向けコンテンツです。

症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。

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