ダイレクトブリッジ 究極のMI修復

まったく削らず、その場で歯を入れる・・・今まででは考えられない治療がダイレクトブリッジです。

現在のコンポジットレジンは機械的性能の向上と、接着力・接着耐久性の飛躍的な向上により

以前では不可能であると言われていた処置が可能になりつつあります。

その一つが「ワンユニット・ブリッジ」です。

今までの欠損補綴を大きく分けると

  1. 義歯
  2. ブリッジ
  3. インプラント

に大別されます。

どれも一長一短あるのは周知のとおりですが、ここに「充填」が加わる日も近いと確信しております。CR修復の権威ともいえる宮崎真至先生の言葉を引用すると

 

「コンボジットレジンの特性を理解することによって、これまで認識されていなかった修復技法が、今後確立する感がある。そのためにも、臨床の場と研究の成果とが融合される必要があるはずである。」

(「コンポジットレジン修復のサイエンス&テクニック」宮崎真至先生 より引用)

 

ダイレクトブリッジは非常にテクニカル・センシティブな点と、エビデンスの確立が十分ではないため一般的な治療ではありませんが、その臨床的有用性は計り知れないのではないでしょうか。


前歯が抜け落ちてしまったことを主訴に来院されました。女性にとってこのまま何週間も歯がないのは審美的にも精神的にも辛いものがあります。咬合などの精査の結果、ダイレクトブリッジを適応できると判断し、説明・同意ものと処置に入りました。

 


ダイレクトブリッジを装着直後の写真です。審美的問題は大きく改善されました。1時間以内に処置を終えることができましたが、長時間の開口が伴うため、患者さんのご協力に大変感謝しております。

ダイレクトブリッジの利点としては

  1. 骨などの他の組織に障害を与えない
  2. 1回の処置で終わる
  3. 印象などの付随的処置が不要

などが考えられます。

当然咬合の精査など厳格な診査をもとに適応する必要性がありますが、たとえ脱離した場合でもそのほかの欠損補綴に変更が効きます。つまり「後戻り可能な治療」である点も大きな利点であると考えております。

インプラントや通常のブリッジは「やっぱり元に戻してほしい」は通用しない、後戻りできない一方通行の処置です。

さらにダイレクトブリッジはその場で処置が可能であるため、即日で審美的回復が可能です。


2か月後の写真です。全く問題なく機能しております。

症例の患者さんも最初はマスクをつけて来院されましたが、治療後は満面の笑みで帰宅されました。

鏡を見せた時の感極まった笑顔が今でも忘れられません。

 

 私たちはインプラントなどの大きな侵襲性を伴う処置を第一選択としてしまうバイアスがあります。

CTで3次元的に診断し、歯肉を切り開き、骨を削って・・・・派手で劇的な処置は、施術側に高揚感を覚えることでしょう。一歩引いて患者さんの視点で考えた時に、患者さんが求めているのはインプラントなのでしょうか。

 

「素敵な笑顔になりたい」

「よく咬めるようになりたい」

「日々の生活をより快適におくりたい」

 

・・・決してネジを埋めてほしいことではないと思います。

コンサルテーション、カウンセリングという名目で患者さんを説伏させることに違和感を覚えます。

私が患者の立場なら、なるべく侵襲性が低い治療を選択します。

ご相談はワタベデンタルにて受け付けております。

・注意事項

症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。

無断複写・転載は一切認めておりません。